日本の歴代首相の中で、これほどまでに「自衛隊派遣を断る」という単純な行為に手こずった例はあまり記憶にない。理由は明白だ。日本には憲法9条がある。それだけの話である。
にもかかわらず、今回の高市政権は、まるで「どうにかして派遣したい」と思っているかのような振る舞いを見せた。憲法を“盾”にしたのではなく、“言い訳”にしたように見える。
高市首相がトランプ大統領を踊らせているのか、高市首相がトランプ大統領に踊らされているのか。
イランは主権国家である。そのイランの体制が気に食わない、放置していれば世界の平和が脅かされると言って暗殺する。自分の意に沿わないからと、他国の指導者を暗殺して良い訳がない。明確に国際法違反である。これが許されるのであれば米国に従わない国の指導者は全て暗殺して良いということになる。
■ 「制約」という言葉が生む誤解
高市首相はアメリカ側に対し、9条が「制約」になっていると説明した。日本語では「できない理由の丁寧な説明」だが、英語圏ではまったく違う意味に聞こえる。
- 日本的解釈:「できないこともある=遠回しのNO」
- 欧米的解釈:「できる部分はある=YESの含み」
この文化差を理解せず、曖昧な表現をそのまま英語にしてしまったのは、国際交渉の経験不足と言わざるを得ない。トランプ大統領のようにYES/NOを重視するタイプに対し、明言を避ける姿勢は「YESと受け取ってくれ」と言っているのと同じだ。
実際、米国の国連大使は「日本は自衛隊派遣を約束した」と発言している。これは日本国内向け説明とは明らかに齟齬がある。
■ 憲法9条を“利用”した矛盾
高市首相は「9条があるから派遣できない」と説明した。しかし、同時に「9条改正」を政権の重要課題に掲げている。
つまり、こう言っているのと同じだ。
「本当は協力したい。だが9条が邪魔だ」
もし本心から派遣したくないなら、9条改正を急ぐ必要はない。
逆に、改正したいのなら「派遣したい」という意思があるということになる。
ここに明確な矛盾が生じている。
■ 国際社会にどう映ったか
さらに問題なのは、トランプ大統領への過剰な迎合だ。
「平和をもたらせるのはドナルドだけ」「日本は役割を発揮するよう後押しする」
これらの発言は、国際社会から見れば「アメリカの先制攻撃を肯定している」と受け取られかねない。イランの最高指導者暗殺は国連憲章違反と批判されている行為であり、日本がそれを支持するような姿勢を見せるのは極めて危険だ。
特に、イランは日本にとって原油供給国であり、安倍政権時代には友好関係を築いていた。
そのイランが今、ホルムズ海峡の日本船舶への通行緩和を検討している最中である。
ここで日本が「アメリカの側に立つ国」と認識されれば、国益を大きく損なう可能性がある。
■ 日本の生命線・ホルムズ海峡
日本の原油輸入の94%は中東依存であり、その大半がホルムズ海峡を通る。
もしイランに敵国認定されれば、日本の経済は半年も持たない。
- ガソリン不足
- 物流停止
- 発電用燃料の枯渇
- 経済活動の停止
「日本が終わる」という表現は決して誇張ではない。
1973年の第一次オイルショック時、田中角栄はアラブ側と米国の間で巧みにバランスを取り、中立的姿勢で危機を乗り切った。
今の日本に必要なのは、まさにその“したたかさ”である。決してアメリカ迎合ではない。
■ いまの日本外交は「したたか」ではなく「従属」
今回の訪米で高市首相が示したのは、したたかな外交ではなく、アメリカへの過剰な迎合だった。
- アメリカの要求に曖昧にYES
- 国際社会にはアメリカ支持と映る発言
- 国内には「9条があるからできない」と説明
- アメリカ側は「日本は約束した」と発表
この構図は、まさに「属国」と揶揄されても仕方がない。
自民党はアメリカのATM、日本はアメリカのポチ──。
そんな言葉がネットで飛び交うのは、単なる感情論ではなく、今回の外交が生んだ“現実的な懸念”の反映だ。
■ 結論:外交は「言葉」ではなく「国益」で判断される
外交は国内向けの説明ではなく、国際社会でどう受け取られるかがすべてだ。
今回の高市外交は、アメリカにはYES、日本にはNOと説明し、イランには敵対的だと捉えられかねない。
その結果、日本の安全保障とエネルギー供給という生命線が危険に晒されている。日本が本当に守るべきは、アメリカの顔色ではなく、日本の国益である。
アメリカとイランに対してはかつての田中角栄のように、どちらにも与しない中立が正解である。
もうアメリカの靴を舐め続ける日本はやめよう。
「Japan is back」どのようにも解釈できるこの発言。高市首相はどういう意図でアメリカで言い放ったのか。これからの彼女の言動でその意図は明らかになる。国民はそれを見ている。


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